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第54話(BL特有シーン・回避可)
「京哉……私の京哉!」
「っん、忍さん……んんぅ、んっ、んっ!」
口づけ合った二人は互いの唇を貪り、激しく舌を絡め合って唾液を交互に吸い合った。痛いくらい舌を吸い血が滲みそうなほど歯を立てる。求め合い脳内が白熱した。
「んんっ……はあっ! 忍さん、欲しいよ」
「私も、お前が欲しくて堪らない」
灰色の目に情欲が揺らめき溢れそうになっている。京哉は霧島を抱き締め返した。我が身を以てしても護りたかった男に京哉は腕を回し、暫し互いの息づかいを聞く。
薄いガウン越しに逞しい躰が息づき、酷く熱を帯びているのが感じられた。
「忍さん、貴方、熱い……熱が出てますよ。風邪かな、それともストレスかも」
「そうか。ならばお前に薬になって貰わんとな。……怖かったんだ」
「怖かった?」
「お前があんな……すまん。私がついていながらあんな思いをさせて悪かった」
「もういいですから。本当に僕は大丈夫だから。ね?」
年上の愛し人が身を震わせているのを悟って京哉の方が慌てる。震えを鎮めようと更に腕に力をこめた。だがその腕を霧島はいとも簡単に解いてしまい、包帯を巻いた右手一本で京哉の両手首を頭上に縫い止めてしまう。京哉は切なく暴れたが霧島の手は緩まない。
「お願い、離して……貴方を抱き締めたい」
訴えたが霧島は聞き入れずそのまま片手で京哉のガウンの紐を解いた。下着まで引き下ろされて京哉は羞恥で身を捩る。もう京哉は自身の先端から雫を滴らせていた。
「隠すな、京哉。全てを見せてくれ……ものすごく綺麗だぞ、お前」
窓外の夜をバックにして白く燐光を放つような華奢な躰。さらりとした長めの黒髪にそこだけ赤く蠱惑的な唇。堪らなくなって霧島は再び噛みつくようなキスを仕掛けた。唇を下降させ首筋から鎖骨にまで舌を這わせては、きつく吸い上げて自分の証しを刻み込む。
そして京哉を促し、窓の方に向かせて縛めを解いた両手をつかせた。
「私ももう、我慢できそうにない」
「あっ、忍さん……あ、ああっ、そんな……はうんっ!」
ガウンの裾を捲り上げ、片手で京哉の後ろの色づきを押し広げて、霧島は京哉の体内に舌を捩じ込む。京哉は熱く柔らかな舌の感触に叫ぶような声を洩らした。
「ああん……忍さん、や、あっふ……や、あん、はぁんっ!」
「暴れるな、京哉。傷ついているだろう? っく……お前を私の全身で犯したい」
侵入させた舌を激しく抽挿入して京哉の中に存分に唾液を送り込むと、今度は長い指を挿し込む。荒々しく咥え込ませて内襞を擦り上げた。性急に指を増やして擦り続けると、京哉の粘膜が熱く滲む。熱を出した霧島の長い指も熱く、互いに融け合ってしまいそうなくらい嬲り、華奢な躰に準備をさせた。
「京哉、もう……いいか?」
「あっふ、忍さん……貴方の熱を下げさせて」
細い腰を悶えさせる京哉から指を全て抜いた。立ち上がってガウンの紐を解くと下着を押し下げて滾り切った己を露出する。斜めに振り返った京哉が息を呑んだのが分かった。痛いくらいに張り詰めたものは反り返り揺れもしないほどで、こちらも蜜が滴っていた。その熱く太すぎるものを京哉にあてがう。蜜を塗り込んだ。
我慢ができずに霧島は無言で京哉に突き入れる。粘膜を引き裂くように貫いた。
チンピラにされた時に傷ついた。白い躰を伝って絨毯まで零れた赤い雫。だから優しくしてやりたい想いを抱いてはいたが、他人なんかにつけられた傷を放置できず、そんなものなど上から己を刻み付けて消してやりたい衝動の方が強すぎて抑えきれなかった。奥まで挿し入れてわざと音を立ててやる。
「ああっ、あっあっ……はぁんっ!」
「っく……京哉、きつ、い――」
急激に根元まで突き入れられて、京哉は苦しさと嬉しさで何も考えられなくなっていた。呼吸も無視して侵入した霧島は呻きを洩らしながら、きつさと微かな甘い痛みに耐えつつ、膝が砕けそうになった京哉を抱き支える。その間も我が身を京哉に捩じ込む動きを止められない。
霧島は可能な限り己を深く挿入して自分しか知らない処まで届かせ、京哉は全身を硬く太すぎる反り返りで埋められたように感じつつ、年上の愛し人を悦ばせようと締めつけた。僅かな隙間も許せない、密着していたかったのだ。身も心も預け切れる相手だとここまで気持ち良くひとつになれる。
「お前の中、あったかいぞ」
「貴方は熱いよ……んっ、すごく、すごく熱い」
「私の薬になってくれるな?」
頷いた京哉をしっかり抱き霧島は腰を引いた。離れてしまう寸前で突き上げる。ぬるみ切った京哉の粘膜が吸い付き包んで眩暈のような快感を覚えた。最初から激しく細い躰を揺らす。京哉も同調し腰を前後させた。二人でこの上ない快感を生む。
「はぅん、いい……すごい、忍さん、硬い、太いよ!」
「京哉、最高にいい……堪らない、蕩けそうだ!」
更に霧島は腰の動きを速め、激しく京哉を攻め立てた。もう京哉は腰を揺らすこともできずに鋭い快感を貪るだけとなっている。痛々しいまでに窓に縋り爪を立てて年上の愛し人の激情を受け止めた。掻き回され甘く高く悲鳴のような声で喘ぐ。
「ああんっ、忍さん、そこ、いい……もっと、忍さん!」
「煽るな、京哉……だめだ、良すぎて止められない、京哉!」
「止めないで、もっと、もっと僕に頂戴! 忍さん!」
互いに名を呼び合い、手繰り寄せ合った。霧島は疼きが背筋を突き上がってきたのを感じて京哉のものを片手で掴む。同時に京哉の中で己を膨れ上がらせた。京哉の吐息が更に乱れる。疼きが溢れ出す予兆に合わせて二度、三度と芯を突き上げた。
「あっ……ああっ、忍さん、いく、いっちゃう……あうっ!」
「京哉、いく、出すぞ……っく!」
二人は同時に達した。手の中に京哉が放出するのを感じ、霧島も己を解放して京哉の体内を熱く濃いものでずぶ濡れにしている。二人は身を震わせて放った。そのまま京哉の躰から力が抜け霧島は慌てて支えつつ、ゆっくりとその場に座らせてやる。
手を洗ってくると霧島は京哉を改めてじっと見つめた。巨大魚が銀の鱗を閃かせるのを背景にして白い躰が夜に浮かび上がり、月読の神が堕ちてきたようだった。何者も汚せないだろうと思わせる高貴さが滲み出ている。
そんな躰を霧島は抱き上げた。京哉が猫のように霧島の胸に頭を擦りつける。
「忍さん。もっと酔わせてくれますか?」
「ああ、私のことも酔わせてくれ」
抱き上げベッドに着地させると霧島は京哉のガウンの袖を抜かせた。自分も既に全てを晒している。跪いた霧島の上に跨るように座った京哉は、自ら霧島をあてがいゆっくりと腰を落とし始めた。真下から熱く太い楔に縫い止められ、細い躰がしなやかに反る。愛しくて堪らない身を貫いて、霧島も躰を反らせると後ろに手をつき、京哉を揺すり上げた。
「ああっ、忍さん……すごい、届いてるよ……はぁん!」
「くっ……まだ、きつい……堪らない、最高だぞ、京哉!」
二人は心まで蕩かし合い、いつまでも甘く激しく求め合う――。
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