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誤算
※本編最終シーンの数か月前にさかのぼります。
＜東上磨衣17歳(高校二年)＞
先日、姉から母に突然連絡があったようだ。
姉は必要最小限の事項しか連絡をいれないから、正月でも盆でもないこの時期に連絡がくることすら珍しい。
そして、その内容はなんと、デキ婚するから相手を連れてくるというものだった。
姉を尊敬している。
結婚なんてまだまだしないだろうとは思っていたが、まさかデキ婚とは。驚きだ。
相手はどうやらミュージシャンをしているというから、ますます驚きだ。
ミュージシャンの名前は聞いたらしいが、母は電話を切った瞬間に忘れてしまったようだ。
「あら。何て言ってたっけ。
ビリーブー？とかいうバンドの骨川さんだったかしら……」
そのバンドは私も知らない。
まぁ、つまり、母が知らない売れていないミュージシャンということだ。
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