小林聡子の終わり

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「お呼ばれ!? 俺の安月給では逆立ちしても無理な、街でも有数のあの高層マンションにっ!? 日当たりはどうだった? 共有スペースとか水回りの事とかっ」 がたりとパイプ椅子を軋ませて食いつく先生。 「先生、話の着眼点がブレているのでせめて最後まで私の話に興味あるふりをして下さい。因みに、日当たりは抜群でした」 「抜群かぁ。いいなぁ。で、なんだ。あの浅野のが家にわざわざ呼んだんだから、もう完全に落ちてるだろ」 雑な感想だったが、私もそう思っていた。 何しろ白の清楚なワンピースにポニーテールという夏の幻想を具現化した装いで乗り込んだ。 しかも「今日は両親居ないからゆっくりして言って」と、意味深に言われてしまい。 なるほど。 これは漫画で死ぬ程見た展開だと思った。 『りぼん』とか『なかよし』じゃなくて『姉プチ』系のちょっと大人向きのやつ。 二人で大人の階段を登るんだろうと思っていたが。 お茶とケーキを頂き、夏休みの宿題をして、ゲームして、また喋って。 最後に。
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