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そのセンセーショナルなニュースは中国から発信された。
原因不明の伝染病が発生したという。
その伝染病は瞬く間に広がり、発生元と思われる杭州はパニックになった。
やがてその伝染病は新種のウイルスによるものらしいと報道された。
その伝染病の致死率は高く、感染力は異常な強さだというニュースは世界中を震撼させた。
そのウイルスから逃れる為に中国を脱出しようとする人が空港に押し寄せた。
道路は渋滞し都市の機能は完全に失われた。
一方中国以外の国では、感染を防ぐべく、一斉に入国制限を掛けたが、すでに感染した人が各国内で発見されその国内を歩き回っていた為、感染者の必死の隔離もむなしく各国でも感染は広がっていった。
世界中がそのウイルスを恐れ、外出禁止措置や一つの都市丸ごと隔離される事態が起こった。
世界の話題はその伝染病に対するワクチンの開発に関すること一色になった。
普通、新しい病気に罹った人がいる場合、或いは病気が流行った場合、先ず最初に考えるのは、その治療法や治療薬である。
しかし何故か今回は治療薬についてはマスコミの話題に上がらず、開発に何年も掛かる筈のワクチン開発が求められた。
このとても不自然な現象に首をかしげる人は多かったが、何故かその反応はマスコミから黙殺された。
実は治療薬はあったのだ。
マラリアの治療に使われる薬がその伝染病治療に効果がある事が実は分かっていたのだ。
それは、伝染病が発生して間もなく判明していた。
これはその治療薬を作っている会社に取っては千載一遇のチャンスである。
勿論その会社は量産体制を取ろうとした。
ところがである、なんとその会社の工場が不審火で全焼してしまったのである。
このニュースは世界中の人々の命に関わるものであるのにも関わらず何故か大きくは報道されず、その会社も、それ以降治療薬の生産を続ける事をしなかった。
そして新聞、テレビを始めとする世界の報道はまるで何かに誘導されるかのようにワクチンを求める声のみを報道した。
伝染病発生のニュースからニ年が経つと、ウイルスは世界中に蔓延していた。
もう世界の何処へ行ってもウイルスから逃げる事は出来なくなっていた。
逃げ場もなく世界中がそのウイルスの脅威に怯え切った頃、世界中を歓喜させるニュースが唐突に配信された。
ワクチンが開発されたというニュースである。
通常開発に十年はかかるワクチンがニ年足らずで出来たのは正に奇跡だった。
世界はその開発力の凄さを絶賛した。
だが、戦争はそれからだった。
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