中村大和sideー謎が謎を呼ぶ事件ー

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「最終的に、私だけになったと思った時、私はその施設から脱走する事を決めた。12歳になったある日、施設の人間達が話しているのを聞いた。台風がこの街に直撃する事と。私は、その日しかないと思った。施設の人間は、あたかも児童養護施設を運営しているようにして、国から補助金を受け取っていた。それは、私が後から調べて分かった事。私は台風が直撃する日を待って、その施設に灯油を撒いて放火した。施設の人間はスナイパーを作る事しか考えていない。だから、私がどれだけの事が出来るか知らなかった。私は自分が持っている知識を使い、放火した後、必死で逃げた。走って、走って、走った。だけど私は、ある場所で力尽きた」 俺はある事件を思い出した。 「その施設の名前は、アヤナミって言う児童養護施設だよね?」 俺が問い掛けると『そう』と答えた玲ちゃん。 「アヤナミの火事は大きなニュースになったよな。確か、施設の中に遺体もなければ、そこに居た奴等が誰も見つからないって。大きなニュースになり、ワイドショーも取り上げていた。だけど、まだ解決してねぇ事件だろ?」 拓海の言葉に、俺も涼も頷く。 アヤナミと言う児童養護施設が全焼した。 放火だと言う事は分かったけど、遺体もなければ、そこに居た人間も忽然と消えたまま。 現在でも、警察が捜査している事は、マル暴の山根から聞いていた。
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