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チャイムの音を聞き、自室からカバンを取り上げて、一人暮らしにちょうどいい1DKの部屋を縦断し玄関に向かう。
そして玄関のドアを開け、外に出た。
「おはよう、あやめ」
そこには俺の幼馴染で同級生の天城あやめが立っていた
紺のブレザーに白のブラウス、下も紺のスカートという学校指定の制服を見事に着こなし、見る限りシミもシワの1つもない完璧さ。
着ている服の完璧さよろしく、本人も髪の乱れ1つなく常に艶のある黒髪、まつげも整っており、目は少し釣り目、化粧も程よくナチュラルで、どこに出しても恥ずかしくない完璧さ。
誰が見ても美人、と言わざるを得ない雰囲気をまとい、所作も完璧な、いわゆる完璧美少女を地で行っているな。
「おはよう、のぶくん」
こいつは昔から俺のことをあだ名で呼ぶ。
そして小、中、高とすべての学校が同じで家も近いため、寝坊しがちな俺たちを毎朝起こしつつ、一緒に学校に向かうというのがもはや恒例になっていた。
俺たち、というのは実はもう一人...
「やっべぇぇぇ!!!!寝坊した!!!!!!」
共用部にまで聞こえるほどの大きな声、ドタドタと響く大きな足音
「今日もギリギリかしらね…」
「ああ、たぶんそうだろうな」
と、お互い慣れたとでも言わんばかりに話し、二つ先にある部屋のチャイムを鳴らした。
ガチャ!バン!!!
壊れるんじゃないかと言わんばかりの勢いで部屋のドアが開く。
「おお!のぶ!!!あやめ!!!ちょっと待っててくれ!!部屋入ってていいから!!」
外で聞こえた声と寸分たがわぬ元気さで、部屋に招き入れられる。
「準備、まだかかりそうか?」
「おう!あと10分くらいだから、部屋で待っててくれ」
じゃあお言葉に甘えて...と言いながら家に入る。
朝から元気なこいつは俺たちのもう一人の幼馴染、飯田竜也だ。
昔から寝坊癖があり、俺たちが三人で学校に向かう時も、大体はこいつが起きるのを待つのがもはや日課だった。
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