プール

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 今年小学校に上がった息子にせがまれ、夏休み中のプール開放に参加した。  今時の小学校では夏休み中のプールを一般開放しており、近隣住民の憩いの場となっているようだ。  ただそのための制限もあり、小学校低学年までの子供の場合は必ず保護者が付き添わなくてはならない。まあこのご時世、一般に開放するのであればそれは当たり前だし、まだ幼稚園の娘も連れていけるのでありがたくもある。  だが一方で先生が見ていてはくれないのかと恨めしい気持ちも。  少なくとも俺の子供の頃、夏休みのプール開放と言えばそういうものだった。  元気いっぱいなのはいいことだが、息子だけでも預かってもらえれば仕事が進むのに。  妻とは中学の同窓会で再会して独身同士だったため、という流れで付き合い始めたので結婚は三十をとうに過ぎてからだった。当然両家の実家は割と近隣、何かあればその都度訪れることが可能な距離で、長期休みに帰省と言うイベントもない。  その妻は飲食店勤めで夏場は目が回るほどに忙しいらしい。  そうなると必然的に在宅ワークの俺に子供の面倒が回ってくる。  息子は早速友達を見つけ泳いで行ってしまった。元気だ。ありがたいことだ。引っ込み思案の娘も広いプールが嬉しいのか、俺にしがみついて深いところで懸命にバタ足している。  スイミングに通わせるのもいいかもな。  小学校に入るまでにはちゃんと友達を作れるようになってほしいし、そろそろ新たな刺激が必要かもしれない。 「かわいいね!娘ちゃん、いくつですか?」  ぼんやり考えていたところにいきなり声をかけられた。  それが、彼女との出会いだった。
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