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知らない
その女は、俺の娘と同じ年ごろの男の子を連れ、まだらにブリーチされた髪をアップにしていた。
そしてプールだというのに厚めの化粧、むしろプールだから厚めに塗っているのかもしれないが、あまりに場違いで浮き世離れしていた。
マットな質感の唇が蠢く。
「うちの子とおんなじくらいかな?」
「あ…ああ、年中」
「じゃあうちの子が一つ上だ!無料でプール入れるって聞いたから期待して来たのに、ジジババばっかでどうしようかと思ってたんだ!パパさんもいてよかった!」
一言目こそ遠慮がちだったものの、返事をすれば女は距離を詰め馴れ馴れしく喋りだした。
小学校のプールだというのを慮ってかタンクトップを着ているが、肉感的な体がその下のショッキングピンクのビキニをくっきりと透かしていた。軽く体を揺らすだけで風船のような乳房がタプタプと音を立て、波が俺の肌にその感触を伝えた。
ぬるま湯のようなプールの水、それより高い体温を感じる距離で、おくれ毛を伝って水滴を吸い込む谷間から目を離せない。
水しぶきの音、子供の騒ぎ声、暑さもあるだろう、女の喋る内容は頭に入ってこなかったが
「仲良くして、ね」
最後の言葉だけ聞き取れた。
そして彼女は剥き出しの肩同士を軽く触れさせ、振り向きざまにビキニに包まれた柔肉を俺の腕に軽くかすめる。
マットな赤い唇が誘う。
その後から。
ベッドの彼女のように、誘いの言葉は覚えていない。
本能だけ、肉欲だけになる、そんな感覚だろうか。どこに触れても柔らかく、頭の芯がずっと痺れっぱなしになるようなセックスを俺は知らない。
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