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…?
…?
いつもはクーラーのために締め切っていた寝室のベランダの窓を妻が開ける。
「やっと夜は涼しくなってきたね!」
プールで感じていたのと同じべっとりとした湿度の高い空気だが、それだけに少し涼しいだけで妙に重く、冷たく感じてしまう。
熱情のような夏のその終わりを感じた。
それと同時に、熱に浮かされてとんでもないことをしたと思い至った。
ていうか、俺は何をしていたんだろう。
何かしてたか?
あの女を抱いて。
…いつどこで?ずっと子供と一緒にいた俺が?夜はリモートで会議してたよな?
あれ?抱いてなくない?ていうか声も顔も、そういえば名前も知らないって。当然連絡先も。
そんな女と何かあるか?
いや、それ以前の問題で。
「…大丈夫?」
「あ………」
妻、ヒロミちゃんが四つ這いで、布団の上に座り込んだまま固まっていた俺の顔を覗き込む。
ヒロミちゃんはでかい。女性なのに176センチある。バレー部のエースで中学からデカかった。
対して俺は164センチ、いくらプールで身長がわかりにくいとしても、レオ君パパと並んだら一目瞭然だろう。顔だってフツメン…かなりブサメン寄りだがフツメンのはず!普通のオッサン。加えて陰キャのオタクだが外見には出てないはず!プリキュアのTシャツも娘のいるお父さんなら普通のはずだ!
ヒロミちゃんの男性経験の無さの不思議より、俺が女に相手にされる外見じゃなかった件。
自信ある。絶対浮気してない!
長門推しなのにビスマルクに傾いた罪悪感みたいな!
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