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そんな奴が受かるわけがないのは誰にだってわかる。それなら僕が今、滑り止めで受けた私立高校の門の前に立っている理由はなんだというのだろう。
結局公立入試当日は全身の身体感覚がおかしくなるくらい頭がガンガンに痛かった。体が冷えて風邪をひいたのと、前日徹夜で色々詰め込んだあまり寝不足だったことが原因なのは、自分でもちゃんとわかっている。それでも試験会場には向かったが、当然問題が解けるはずもなく、特に英語のリスニングなんか一問もまともに聞き取れず、試験は終わった。
僕は救いようのないくらいの馬鹿だ。
こうやって人生を棒に振るような人間。たった一人の───
いや、一匹の最愛の相手を失っただけで、全てを失ったと勘違いしてしまうほどの。
ピィちゃんと、あの寂れたペットショップで出会った日。飼うことに猛反対した母親を押し切った日。その全ての日々が一匹のモルモットと共に、今でも僕の中を巡って疼く。
そんな日々だって無駄じゃなかったんじゃないか?
そう言ってくれる誰かをずっと求めている。
だけど、そういう自分を別の意味で受け入れてくれる人と、この高校で出会えることを、その頃の僕が知るはずもなかった。
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