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世間話をしながらお茶を楽しんだあと稽古にはいる。
一通り通して舞う姿を雪人がじっくりと観察している。
舞い終えると雪人は拍手をする。
これと言って欠点のある部分は見当たらない。
「どうでしたか?」
「良いと思う。扇子の使い方も目の配り方もうまかったよ」
「有難うございます。」
雅美の顔が少し赤く染まる。
「アーちゃんはどう思いますか」
「演奏に集中してて。じっくり見えなかったんだよね。残念。なんで僕が琴弾かなきゃいけなかったんだろ。雪人がいけないんだー。僕のこと推薦したの雪人なんだから。」
「俺より菖蒲の方が上手いからにきまってるだろ?俺は菖蒲の和服好きだし。」
「もう。雪人ったらそう言ったら僕が納得すると思ってるんだから。」
少し不機嫌そうではあるが内心嬉しい菖蒲である。
2人のたわいないやり取りを微笑ましく雅美はみている。
「どこか気になってる部分があるのか?」
逆に雪人に問いただされて雅美は告げる。
「安斎先生に、僕の舞には色気が足りない艶っぽさが全く感じさせられないって言われまして。。」
雪人は飲んでいたお茶を思いっきり吹き出しかけた。
「あの変態くそじじー」
「そうだぞ、安斎の言う事なんか気にしたらだめだ。」
これ以上色気が混じったらとんでもないことになる。
2人は慌てて止めに入る。
「マーちゃんの舞はこれで完成されてるんだから変な気をおこさないで。」
「雅は美人なんだから自信をもっと持って良いと思うぞ。」
「は。。はい。ですが気になってしまって。」
顔を赤らめている雅美に2人は続ける。
「あいつは変態だからな僕に稽古漬けるときも腰を触ってきたりするんだからな、だからマーちゃん気をつけなくちゃだめだよ」
「菖蒲。そんな話は初耳だが?触らせたのか安斎のやつに」
「あ。。そ。そんなに沢山じゃなくてその。。」
ゴニョゴニョ。。菖蒲の声が小さくなり雪人の方はご機嫌斜めといった感じだ。
「とにかくあのくそじじーの言うことは気にしないで大丈夫ってこと。」
あははっと菖蒲は笑ってみせる。
雪人はどこか腑に落ちないという顔をした。
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