結人と雅美くん

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練習を終えると辺りはすっかり暗くなっていた。 「マーちゃんご飯食べていきなよ。雪人も今日泊まってくし。久々に3人で会えたんだからさ。高等部のときはいるも一緒だったのに、なんか変な感じだよね。」 「そうだよな俺たち3人小さい時から一緒だったもんな。学科が変わるとこうも違ってくるんだな。」 「仕方がないですよ。」 「でもさみしいじゃん。マーちゃんは淋しくないのか?それより翼の2人はちゃんと仕えてる?」 菖蒲がついっと雅美の顔を覗き込む。 高等部までは3年間2人が務めてきたが、学科が変わったことで翼も別の2人が務めることになったのだ。 それでも3翼と4翼という補佐の立場は2人が譲らなかったため継続中だったりもするが、3翼、4翼ともなってくると殆ど名前だけの状態だったりする。 「特にお変わりありませんよ。」 雅美はにこっと微笑む。 「危ないと感じたらちゃんと逃げるんだよ。僕が選んだ翼たちだけど、ちゃんとマーちゃんのこと守ってくれないと困るんだから」 「まぁ源ツインズなら大丈夫だろうよ肉体派の透と秀才派の樹、強いて言えば、樹のがちょっと厄介かなアイツは雅を慕い過ぎてるからな。いつ何時恋愛感情を抱かれてもおかしくはない。まぁ恋人が結人と知ってて玉砕しようとは思ってもないだろうけどな。」 「恋人が栗原だもん、学園の王女様だったのが今じゃ、国民の王子様だもんねー相変わらず親衛隊のやつらは王女様って崇めてたりするけど勝ち目がないしね。」 結人が雅美を大事にしまくっているのを見せつけられてきた高等部の生徒たちは、かなわないことを思い知らされてきたうえに、下手に手を出そうとした輩が退学処分になっただの、この世から抹殺されただのという恐ろしい話まで加わって流れていただけに、学園の王女様という位置付で皆の結人という暗黙なルールを掲げきている。 結人が卒業したいまでもそれは変わらず続いていて、抜け駆けするヤカラも、雅美に手を出す輩も今ではめっきり姿を消していた。
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