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「あーさっぱりした」
15分くらいでシャワーを浴び終えた結人は全裸のままだ。
「栗原。。服。。服を着てください。」
恥ずかしげのない結人は自分の恋人が初心なこともたまらなく愛しい。
「雅美も脱いじゃえばいいのに。」
「えっ。」
「そしたらきっと恥ずかしくなくなるよ」
なんていいながらバッチリウインクなんかしてくる。
普通なら変態オヤジの戯言なのだが、相手が結人なので、そんな姿までもが格好良く見えてしまうのだから仕方がない。
「コーヒー冷めちゃうので。あのガウンだけでも。。」
「はいはーい。判りました。でも風呂上がり暑いんだよね。」
「それはそうですけど。。目のやり場に困ります。」
「じっと見てくれたら良いのに。そして興奮してくれたらいいのにな。」
冗談とも取れない言い草。
「栗原。」
「着ます着ますよー」
クスッと笑いながらガウンを羽織る。
それから雅美の席の前に座る。
「頂きます」
「頂きます。あの時間大丈夫ですか?」
慌てる素振りなくゆったりとした仕草でコーヒーを飲んでいる結人に雅美は問う。
「大丈夫迎えにくるの9時だから」
「えっ。7時って」
「早めに言っておかないと俺ダラダラしちゃうから。雅美が慌ててくれると丁度いいかなって」
結人は悪びれることなくサンドウィッチを齧る。
「俺の好きなツナマヨ美味しい」
「沢山作ったので」
テーブルにはツナマヨの他に卵とハムレタスのサンドウィッチが並んでいる。
即席のコーンスープも結人のお気にいりだ。
「雅美は今日から1週間休みだっけ?」
「建立祭の準備期間ですので」
高校と大学と合わせた式典は毎年華やかで政治家や外国の偉い人まで集まっての大規模なものである。
1日のために何ヶ月も前から催し物も考えられ会場の準備期間も1週間と長い。
「当日はエスコートにいくから」
「忙しいのに大丈夫ですか?あーちゃんに頼もうかと思ってたのですが。」
その言葉に結人の表情が強張る。
「大事な恋人を他のやつになんか触らせてたまるか。いくら幼なじみでも俺は嫌だからね。」
「ごめんなさい。」
シュンっとしてしまった雅美に続ける。
「もっと甘えてほしい。俺を頼ってよ。そりゃ忙しいよ。。でも1番大事な人をないがしろにはしたくないんだ。」
それに雅美は気づいていない。雅美を狙っているやつが沢山いることに。
そんなやつがいるから心配が絶えないのだ。
今年の式典、雅美は舞台で舞を披露することになっている。
雅美の女形の姿は絶世の美女といっても過言ではない。
ちゃんとボディーガードをしないとこれ以上変な虫がついたらたまらない。
「とにかく何が何でもその日はあけるから、ちゃんとエスコートさせてよね」
ビシッっと言われて雅美は小さく頷いた。
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