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彼女の言葉が鋭い刃のように、容赦なく胸を突き刺す。
それって、浮気された私にも原因があったってことなのかな。
諒ちゃんを満足させてあげられなかった、私が悪いの……?
相性とかマンネリとか言うけれど、触れ合って愛情を確かめ合って、幸せを感じていたのは私だけなのかな……。
私は、女の子との噂が絶えなくて、常に彼女がいるような人気者だった、学生時代の諒ちゃんを知っている。
自分とは縁のないタイプの男性だと思っていて、けれども同窓会で昔のチャラい感じがなくなった彼に惹かれて付き合い始めたけれど、やっぱり人間ってそう簡単には変わらないものなのかもしれない。
寂しさを埋められるのは、月乃しかいないんだよ、なんて。
そんなことを言っておきながら、あの日も私との行為に物足りなさを感じていたのかな。
そう思うと、無性に惨めな気持ちになってきて泣きたくなったが、震えそうな唇をグッと噛み締めて耐える。
反論しなければ彼女の言い分を認めてしまうことになるからと、私は彼女を睨みつけながら言い返した。
「そんなの、責められるに決まっています。そもそも、あなたにもお付き合いされている方がいるんでしょう?だったら……」
今の私を同じ立場に晒されたとき、彼の浮気を正当なものだと認めることができるのかと。
そう問いかけようとしたとき、なかなか戻ってこない私を心配したのか、大和君の気遣うような声が聞こえてきた。
「月ちゃん、どうかした?」
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