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これ以上、みっともない姿を曝け出したくはないけれど、黙っているのも心苦しくて、本当のことを打ち明ける決意をする。
もう一口、ドリンクを飲んで喉をしっかり潤してから、私を心配そうに見つめる優しい瞳に応えた。
「……彼氏の、浮気相手なの」
「えっ?」
「浮気されるのには私にも原因があるんだって言われて、何も言い返せなかった。本当、馬鹿みたい……」
平気なふりをして自嘲的に笑うことが、今の私にできる精一杯の強がりだった。
大和君にとって、頼れるお姉さん的な存在でありたいのに、いつも情けない姿ばかり見せてしまって、どうも上手くいかないな……。
「ごめんね……。楽しく買い物していたのに、こんな雰囲気になっちゃって……」
私がそう言うと、大和君は申し訳なさそうにしながら、気にする必要はないと主張するように、首を激しく左右に振ってくる。
「俺の方こそごめん。月ちゃんにとって、辛いことを訊いてしまって」
「ううん、私はいいの。全部本当のことだから……」
話すと決めたのは自分自身だから、大和君が謝る必要はない。
しかし、彼は納得のいかないような、訝しげな表情を浮かべて、珍しく感情的な口調で持論を述べてきた。
「俺は月ちゃんと彼氏さんの間に、どんなことがあったのかは知らないけれど……月ちゃんは絶対に何も悪くない。
浮気されるのには原因があるなんてさ、そんなの自分のしたことを正当化したいだけの屁理屈でしかないよ」
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