はじめてのデート

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2週間ほど前に、大和君から相談したいことがあると、話を持ちかけられた。 いつもお世話になっている祖母の為に、感謝の気持ちを表したいと。 ちょうど祖母の誕生日が来月に差し迫っていたこともあり、内緒で誕生日祝いを計画しようと発案したのは私の方で、彼もそれに賛同してくれた。 そして、明日は大和君と一緒に、祖母へ贈るプレゼントを探しに行くのだけれど……。 「……まあ、これでいいか」 祖母のお墨付きも貰ったところで、私はワンピースを脱ぎ始める。 諒ちゃんとの外出よりも服装に気を遣ってしまうのは、二人で出掛けるのが初めてだからという理由もあるけれど、単純に彼の隣にいて恥ずかしい格好だけにはならないように意識しているからだ。 彼の年齢層に合わせて、普段よりも華やかな服を選んでしまったのには、そういった事情がある。 いくら人の良さげな彼だって、地味なオバさんを連れ歩くのは嫌に違いないだろうから。 部屋着として使っているセンスのない柄物Tシャツとスウェットに着替えて、ワンピースはハンガーにかけて壁に吊っておいた。 ちなみに大和君は、今夜は勤務日で帰ってこないので、明日になって彼が帰宅をしてから、祖母の好きな銀座のお店に行く予定にしている。 夜勤中に仮眠時間があるとは言っても、彼にとって非常にハードな1日になるだろう。 なるべく早く、プレゼントが決まれば良いのだけれど……。
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