OMT

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広い部屋の中央に椅子が四つ並べられ、三人がそこに座っている。男がひとりと女がふたりだ。俺が部屋に入るとそいつらは俺に顔を向けた。なんて暗い顔なんだと思った。まあ俺も同じような顔をしているんだろう。なんだかため息のようなものが聞こえた。 「ようこそいらっしゃいました。わたし、開発部長の谷口です」 別の扉から背の高い男が入って来た。きちんとスーツを着て、髪もきれいにとかしてあった。なんだか急に俺の姿がみすぼらしく思えて、居心地の悪さにもじもじした。ほかの三人も同じようで、うつむいたりわざとらしく咳をしたりしている。 「みなさん、緊張しなくても大丈夫です。わが社が開発したOMTは安全、安心、そして安価です。きっとみなさんの希望に叶う人生をもう一度送ることができるでしょう」 「あのー、本当なんでしょうか?」 四人でいちばん年かさの男がそう聞いた。たぶんみんなが一番聞きたかったことだ。 「わたしどもは一流企業です。いい加減なことはしません。この薬を飲めばたちどころに人生をやり直せるのです」 んなわけねえだろ!とみんな思ったに違いない。たしかに人にだまされそうな面をみなしているが、バカじゃないだろ?少なくても俺はバカじゃない。そんな話はあるわけない。あったらとっくにノーベル賞だぞ!
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