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《SIDE 美羽》
今日は、朝からいつもと違う一日だった――。
保育士として働く私は、普段から自転車で職場の保育園まで通っている。
出勤しようと玄関に行くも、いつも自転車の鍵を置いている所に鍵が見当たらなかった。探そうかとも思ったが、ふと先程テレビで見た夕方からの雨予報を思い出したのだ。いつも余りつけることのないテレビをこの日はなぜかつけていた。時計を見ると急げばバスに間に合う時間だ。
自転車を諦め急いで家を出た。すると珍しく私の部屋がある5階に、エレベーターが止まっているではないか。更には、私がバス停に着いた瞬間にバスが来たのた。
こんなに何もかもがスムーズに進むなんて……。
保育園でも、この日は何かと思い通りに仕事が捗る。
夕方からは、予報通り雨が降り出した。自転車で来なくて良かったと安堵する。
早番だった私は、本来17時には上がれるのだ。そのはずだった……。だが雨の日は、保護者のお迎えが遅れがちになる。
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