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「このままでは、本当に倒れてしまいます。私の家が目の前のマンションなので、何とかそこまで歩いてもらったら」
私は、身元もわからない男性に、自分の家に来るように声をかけている自分自身が信じられなかったが、なぜか放って置けなかった。
普段から男性と関わる機会が少ない私は男性に免疫がなく、今までどちらかというと避けていた。
何が私を突き動かしているのか全くわからない。
「おねがいします……」
返事が返ってくるも、これだけ濡れていたら立つのも大変だろう。
「じゃあ手を」
男性が素直に差し出した手を引っ張った。かなり冷えている。本当に救急車を呼ばなくていいのだろうか?
そして立ち上がった男性は、座っていて気づかなかったが、かなりの長身だった。傘を差すのは無理だと諦める。
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