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「本当に、ありがとうございました。あの、お名前を伺ってもいいですか?」
「あっ、自己紹介もまだでしたね。白石美羽です」
「美羽さんとお呼びしてもいいですか?」
「は、はい」
家族以外の男性から名前で呼ばれた経験がない美羽は、恥ずかしくて真っ赤になる。
「僕は、葉加瀬匠と申します」
「葉加瀬……」
匠は珍しい名字だ。さすがにバレたかと覚悟したが……。
「珍しいお名前ですね」
美羽からは、匠のことを知っている様子が全く感じられなくて驚く。
「そうですね。僕のことは匠って呼んで下さい」
「匠さん。下のお名前も素敵ですね」
下心を全く感じない……。
しかも匠のことを知らないとは……。
自意識過剰かもしれないが、かなりテレビでも取り上げられていて、世間では知られた存在だ。
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