SAVE POINT3 オレの意地と、委員長の秘密

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 明日の用意をいそいそと済ませると、オレは「神社ラビリンス」を起動し、行ける場所をすべて回ってみた。  しかし、脱出のヒントは見つからない。  オレは首をひねる。  スタート地点である本殿を、もう一度調べてみることにした。  ドットで描かれた狛犬に近づいて調べると、狛犬の写真が表示される。これももう何度も見たな。 「そういえば、これってどこの神社で撮ったんだろう?」  無料で使える写真の素材を使った可能性もあるが、この狛犬の不気味に笑った真っ赤な口は、ちょっと珍しい気がする。  ゲームを作った人が、自分で撮ったんじゃないか?  そのとき、耳元でざわざわ言う音が聞こえた。  ゲームのBGMではない。すぐ近くで聞こえる。 「かえ、して……」  すすり泣く女の子の声が聞こえた。  大好きで心の支えにしていたものを失ったような、あまりに悲しげなその声。  今日はゲームをやめることにした。  最初は心霊現象を楽しんでいたけど、夜に一人の部屋で起こると、やっぱり怖かった。
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