3人が本棚に入れています
本棚に追加
「僕は桃野小の、霊能結社の一員だ。君はまだ消されたくないだろう?」
画面から出た手は、青宮のその言葉を聞くと、だんだん薄くなって消えていった。
青宮はオレの肩を掴む。
「もうこのゲームには関わるな、と言ったはずだ!」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。どういうことなんだ。ゲームの呪いにかかっているオレ以外には見えなかった霊が、何で青宮には見えるんだ? 霊能結社って何だ?」
「しょうがないか。手短にすませるぞ」
青宮はオレの隣に座る。公園で遊んでいた子たちはもう帰ってしまっていた。
「僕は、生まれつき幽霊や妖怪が見える。そして、桃野小には怪奇現象関係の事件を解決する霊能結社が実は存在する」
オレは息を飲んだ。すげー、それこそゲームみたいな話だ。
「僕はそこに所属している。これは結社の会員証のようなものだ」
青宮がさっきのカードを示す。墨でオレには読めない文字が書いてある。お経か、呪文みたいに見える。
「あのゲームをやっていると本当に霊に取りつかれる。もうやめろ。以上だ」
「やめない! オレは絶対クリアする!」
「危険だとわかっただろう」
「それでもだ!」
「あの霊は大きな悲しみにとらわれている。軽い気持ちで踏み込むな」
「悲しんでるからこそだ。大事なものを取られた気持ち、オレもわかるから」
青宮は眉間をつねりながら深いため息をつく。オレは言葉を続けた。
「なあ、青宮は霊を成仏させたりできるんだろ? じゃあ一緒にあの霊を助けよう。オレが『神社ラビリンス』をクリアして、何を返してほしいのか探ってやる。それを返してやって、すっきり天国に行ってもらおうぜ!」
「君はまだ、この状況をゲームみたいに思ってるんじゃないか?」
ふん、と鼻で笑って青宮は言った。
「霊を祓うのは簡単じゃない。ゲームなんてくだらない遊びと一緒にするな」
「っ、ゲームをくだらない遊びって言うな!」
父ちゃんがオレのことを考えて作ってくれたゲーム。父ちゃんとオレのつながり。
母ちゃんはオレが侍のゲームをやっていれば歴史博物館に、植物を集めるゲームをしていたら植物園に、と色んなところへ連れて行ってくれた。母ちゃんとオレのつながり。
雅人や莉音と、ゲームの話で仲良くなれた。仲間たちとオレとのつながり。
そのきっかけになったものを、くだらないなんて、言わせない。
「見てろ! 絶対に『神社ラビリンス』をクリアして、あの幽霊を助けてやる!」
最初のコメントを投稿しよう!