SAVE POINT2 「呪いのゲーム」、やってみた

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 三時間目の授業中、漢字の問題が書かれた黒板の前を、半透明の影が通り過ぎていく。  だがオレは驚かない。だって今朝からずっとだからな。  なんと、本当に来てしまったのだ、幽霊が!  オレは全然怖くなかった。むしろちょっとワクワクしていた。  自分の身に、こんな怪奇現象が起こるなんて! 「緋坂くん、この漢字の読み、わかるかしら」  国語を担当している月岡先生が、優雅な笑みを浮かべて黒板を指さしていた。彼女の真っ黒な長い髪は、今日も手入れが行き届いている。  黒板に答えを書きに行くオレを、なぜか青宮が鋭い目で見ていた。  「神社ラビリンス」の呪いにかかってしまったのを、オレは仲間たちに秘密にすることにした。  雅人がショックで倒れかねないし、クリアできなかったのを知られたくなかったからだ。  オレは早めに家に帰ってきた。 「おかえり、アキト!」 「ただいま、母ちゃん!」  母ちゃんと、ぱちんとハイタッチする。  オレたちの間を影が通り過ぎていったが、母ちゃんには見えていないようだ。 「アキト、キミにミッションを授ける。このメモのものを、よつばスーパーで買ってくるのだ」 「はいはい」 「こういうときは『はいはい』じゃなく、『ラジャー!』だよ!」   オレの母ちゃんの名前は、緋坂美緒里(ひさかみおり)。お仕事は、雑誌のライターだ。映画の評論を書いている。  アクション映画が好きすぎて、よくオレに「ミッション」を与える。 「このお財布に必要な分のお金が入っている。少し余るから、寄り道してくるといい」  何だか母ちゃん、機嫌がいいみたい。原稿がよく進んだのかな。
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