副作用は自己責任で

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 毎週金曜日、午後22時。よれよれのスーツを着た30代半ばのサラリーマンがやって来る。 「気分はどうですか」 「まだ、疲れはありますけど。なんとかやれています」 「お薬はルールを守って服用していますか」 「はい。ただもう、数が少なくて」 「わかりました。じゃあまた同じのを出しておきます。口うるさくなりますが、副作用が強いので正しい服用を心がけてくださいね」  頭だけ下げて去っていく。その後ろ姿を見ながら、男はパソコン上のカルテに毎度同じ診断結果を記した。
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