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言われた通り、レイナはプール内を見回した。そこかしこで暗がりに乗じて大胆な行動を取る男女が確かに存在している。
「でも私たちの職業柄、こんな所でのこういう行為は慎むべきかと」
「こうしてるだけでは法には触れないよね」
駄目だ。
そうこうしている間にも、藤川の鼓動を背骨の辺りに感じ、レイナは息が詰まる思いがした。
「では訓練開始といきますか。俺は九月だけど、レイナ、誕生日は何月?」
「七月です」
「はあ?今月じゃん。お祝いしないとね」
しまった、とレイナが思った時にはすでに遅かった。
「そしたらレイナ、何が欲しい?」
「いりません。祝うような年齢じゃないんで」
「彼氏が買うって言ってんの。おとなしく受け取りなさい。それとも買えないようなものをお望みかな?一晩、一緒に過ごすとか」
レイナは全身がかっと熱くなった。
「からかわないでください」
「冗談だよ」
そう言って藤川は笑った。
「あのっ、本当に私、綺麗じゃないです。藤川さんみたいにモテる方には、もっと相応しい女性がきっといるはずです」
「鏡よく見てみろよ。レイナは相当美人だ」
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