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「良かったらガムも食べます?このグレープフルーツ味のやつ、お気に入りで!」
「いや、少し寝たいから大丈夫」
お前は修学旅行中の女子高生か。
と、ツッコミたい気持ちを抑えて目を閉じた。
「分かりました!着いたらバッチリ起こしますね!」
「……よろしく」
だからバッチリって何だよ、バッチリって。ノリの悪い先輩だと思われていそうだけど、頭痛には勝てない。
目的の駅に着いた時には頭痛は更に悪化していた。
「……」
ズキズキ、ズキズキ。
脳ミソを直接トンカチで叩かれているようだ。これは結構本気でマズイ。立ってるのもしんどいくらい。
「先輩?」
立ち尽くす私を不思議に思ったのか岡本にひょこっと顔を覗き込まれる。
「!あ、お、岡本」
「はい?」
「私、ちょっとだけ買い物したいから先にホテルに行ってて」
今回の出張は1泊2日でビジネスホテルに泊まる予定だ。
「え、ちょっとなら付き合いますよ?」
「っ良いから!買い物は1人でしたいの」
「は、はい。分かりました」
我ながら語気を強めてしまったと思う。
それでも早く1人になりたかった。
岡本の姿が見えなくなるのを確認して、ホームのベンチに座る。
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