素直になれない僕だけど

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「うわっ!」  ガタッ。  最後の一段を降りようとしたら、思いっきりガタガタと崩れ落ちるように転んでしまった。  中学にもなってカッコわりい。  う、ケツいてえ……。手もヒリヒリ痛い。足打った。痛い。  顔もちょっと角に当たって擦ってしまった。 「健人(けんと)!」  雪音(ゆきね)か……。  最悪。何でこのタイミングで来るんだよ。  俺は何事もなかったかのように立ち上がり、制服についたほこりを払う。 「健人、大丈夫?」 「ああ……」 「ああ! 手、擦りむいてるじゃない! 顔も!」  雪音が俺の手首を掴んで叫ぶ。 「離せ」  俺は手首を無理やりグイッと雪音の手からはがした。 「健人、手当てするよ」 「いい」 「だって、痛そうじゃん……」 「いいっつってんだろ!!」  雪音の息を飲む音が聞こえた。  雪音の方を見ると、今にも泣き出しそうな顔をする。  ……ちっ。 「いつまでも子供扱いしてんじゃねえよ」  じゃあな、と言って俺は雪音の顔を見ずにその場から立ち去る。  後ろから雪音のすすり泣く声が聞こえた気がした。
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