バスケをする日を夢見て

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バスケをする日を夢見て

それから数ヶ月たった 俺は大学2年になり少したった頃だった ピロン 携帯を見ると綾香からの連絡だった 「··········あ、」 生まれたという知らせと写真が添付されていた 「··········、男か·····可愛いじゃん...」 俺は綾香に一つだけお願いをした それは、 「小学生になったらバスケをやらせてあげて欲しい」 綾香はそれを快諾してくれた 俺から...父親から何かを託すならバスケ.... 俺と侑斗の繋がり...それだけで俺はもう満足だ 綾香と連絡を取ったのはこれが最後だった それから大学2年の半ばには伊田も他のみんなも 綾香の存在は薄れているようで 心配したり話題にあがることは無かった 侑斗ももうあれから綾香については言ってこない だから俺は生まれたことも、 バスケをさせる願いを出したことも言わなかった どうせ会うことのない子供だ、知らなくていい 俺がたまに思い出してやればいい . . そして俺達は大学3年生になった いつものように侑斗とバスケをしていた 「はぁ...はぁ...」 「侑斗どうした?なんか顔色悪くないか?」 「なんか最近調子悪くて...今日はもう帰ろうかな...」 「あぁ、その方がいい」 「うん...ごめ...」 ドサッ... 「!!!!」 「侑斗!!!おい!しっかりしろ!!侑斗!!」 俺は震える手で急いで救急車を呼んだ 一緒に病院へ行き待合室に座っていると 侑斗の母親がきた 「航平君!」 「おばさん!お、俺....」 カタカタカタ ギュッ おばさんは俺の震えている手を握った 「大丈夫だから!!」 「あ......はい...」 しばらくして医者が来た 検査結果の話があるからと親族だけ呼ばれたが おばさんがどうしてもとお願いをして 俺も同席させて貰えることになった 「それでは今回の検査結果のお話をします。まず病名は特発性心筋症と言うものです。____、____。」 「____、急を要する事はありませんが.....心臓移植をしなければ長生きは出来せん。ですので、登録をして今後は通院という形になるでしょう。早くドナーが見つかれば幸運です」 心臓移植... ドナーが見つからなければ..侑斗は...? 「あ、あの...そのドナーって...」 「いつ見つかるかは分かりません...。登録してドナーを待っている人はたくさんいます。生きているうちに見つかれば幸運....」 そ、そんな... ガクッ... 俺は膝から崩れ落ち暫く動けなかった 部屋を出て俺とおばさんは病室に移動した侑斗に会いに行った 侑斗はまだ眠っていた 「...........」 「...........」 暫くの沈黙を破ったのはおばさんだった 「航平君、一緒に聞いてくれてありがとう。私一人だったら...きっと取り乱していたと思うわ」 「いえ...」 「少し前からね、侑斗たまにおかしい時があったのよ。だから去年からうちに戻って来てたの」 「え...」 「それで私の実家の近くは田舎なんだけど、いい病院があるって聞いて見てもらったんだけど、今のところは心配ないって言われてて安心してたのよ」 「あ.............」 そうか、その時に綾香を見たのか... 侑斗のやつ自分より俺の心配して...... 綾香の話の後だって何度もバスケをした日はあった それなのにそんな話一回も... 侑斗は優しいからな、、 俺にあんな事あったから言いにくかったのかもな... でも望みが無いわけじゃない! ドナーが見つかれば侑斗は生きられる! まだ可能性はある!! 翌日お見舞いに行くと侑斗は目を覚ましていた そして違和感が始まった頃などの話をしてくれた 心臓に負担をかけないように 俺達はバスケをすることはやめた でも移植をした後にバスケをする約束をした 俺達はまたバスケをする日を夢見て...
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