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いつまでも仲良くね
週末、塾のバイトに行くと
今日から新しい子が入ると言われた
その子は俺の授業希望だと言っていたらしい
俺はすぐに拓馬だとわかった
「じゃあ今日はここまで、質問あったら来て」
「先生、ここわかんなかった!」
「あぁ、これちょっと分かりにくいよな。ここは_____、____ 。」
「ねぇ、ここって、____、」
だいたい聞きに来る子は決まってるし
ちゃんと授業の質問だし俺は答えている
最初は彼女いるのかとか
くだらねぇこと聞いてくる奴もいたけど、
成績についてチョロっと言ったら黙った
それからは誰も聞いてきたりしない
だからいろいろやりやすかったし居やすかった
モジモジ...
「ん?拓馬!なにそんなとこでモジモジしてんだよ。質問あんなら聞きに来い」
「今日から入った人だよね?」
「あ、うん....」
「こいつ頭いいからな!まぁ俺のがいいけどな!」
「はぁー?自分で言う!?」
「事実だからしょうがねーだろ」
「「 あはは!!!」」
この子が例のくだらない質問をしてきた子だ
「名前なんて言うの?」
「月雪拓馬です」
「私は白瀬真珠(しらせ まみ)よろしくね!」
「よろしく....あ、先生!ここ聞きたいです!」
「どこ?」
「あ、えっと///ここ///」
ふわっ
「(いい匂い...)//////」
「あー、ここは____、____。」
「.........」
「ありがとうございました」
「ん。学校のでもわかんないやつは聞いてこいよ?学校だと聞きにくいのもあんだろ」
「あ、はい!」
「じゃあ、気をつけて帰れよ」
ガラガラ...
「ねぇ、君さ。立花先生好きなの?」
「えっ!」
「もし違ったならゴメンだけど。先生彼女いるからね?しかも凄い可愛い人!」
「え...彼女」
「普通に考えてあんなイケメンに彼女いないわけないじゃん?だから先生とは塾だけの中にしときなよ?」
「別に僕は先生とは.....僕男だし...」
「そっか!まぁあんたが男だからとかはどーでもいいの!私は先生が好き!この塾の中では私が一番好きって思ってるから!それだけ!じゃあね」
......
「.......。僕の方が先に先生と知り合ったんだ...。僕の方が好きに決まってる.....」
次の週
「今日はここまで。質問あったら聞きに来て」
「先生!ここ教えて!」
「これは____、」
「あの、これ学校のなんですけど...」
「おぉ!どれどれ....」
サラサラサラサラ.......
カキカキカキ.......
「あの、もう一つ聞いていいですか?」
「んー?なに?」
「先生に彼女いるって本当ですか...?」
「........まさか拓馬にそーいうこと聞かれると思わなかったな。」
「.....彼女とは別れたよ。でも俺にはずっと好きな人がいる」
「.........」
「.........高校からずっと好きなんだよね。ハハッ...報われない恋ってやつかな」
「そうなんですね。.......僕。立花先生が好きでした。でも、これ多分憧れだと思います。だってその人のこと今、羨ましいとは思わなかった。先生には頑張って欲しいと思いました。」
「.........」
「ってことだから白瀬も俺じゃなくていい恋しろよ」
「...別に好きでいるのは自由でしょ...」
「フッ、そうだな。好きで想うのはそいつの...自分の自由だな」
「...........(先生...なんて顔してんのよ...こんなの諦めるしかないじゃん...)」
「(先生...)」
ガタッ...
「ほら、もうお前達だけだぞ!早く帰んな。拓馬はこのメモ見ながら解いてみろ」
「ありがとうございます...」
「!!!」
「(.....嘘がバレてた...憧れだけじゃない。本当は先生のこと好きだったよ)」
『お前は俺みたいになるな。お前は俺の自慢の教え子だ。幸せになれ』
.
..
数日後
「ねえ、拓馬....先生の報われない恋ってなんだろうね」
「わかんない。でも付き合うことが出来ない相手って事だよね.....」
「付き合うことが出来ない...か。相手がいるか、既婚者か、亡くなった人か...あんなハイスペックな人が付き合えないとか...有り得ないよね...」
「うん...」
「あ、あれ先生じゃない?」
「ほんとだ。あの一緒にいる人先生の親友の人だ」
「そうなの?詳しいね」
「前に偶然会った時に紹介してくれたんだ」
「先生ずっと笑顔だね。めちゃくちゃ仲良いんだ」
「そうだね....」
.....お前は俺みたいになるな。
お前は俺の自慢の教え子だ。幸せになれ
.......
「(先生...今凄く幸せそうだよ)」
「あーあ、テスト98点だったんだよねー。これじゃ先生に撫でて貰えないじゃん!」
「は!?何それ!100点だと撫でて貰えるの!?え!早く言ってよ!!」
「うわ...63点..立花先生に教わっててそれは無い!!僕が許せない!!」
ギャー
ギャー
先生、いつまでも仲良くね
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