予想外の面会者

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予想外の面会者

「(航平遅いな...)」 いつも連絡を貰ってから一時間以内には必ず来ていたのに 今日は航平から連絡が入ってから一時間が過ぎていた 病室を出てエントランスの椅子に座って待っていた 「ねえ、近くで交通事故があったんでしょ?」 「そうみたいね。ここに運ばれたらしいけど重症みたい。運転手も意識不明だって」 「あらぁ...」 エントランスで椅子に座ってる人の話が聞こえた 「(交通事故か...)」 . . 椅子に座って30分は経った でも航平はまだ来ない... それよりもメッセージを入れても既読が付かない 電話を掛けても出ない... たまたま耳に入った交通事故の話もあり 俺は不安で仕方がなかった... 病室に戻り携帯を見ていたが何も反応は無い 航平から連絡を貰ってから5時間は経った 「航平どうしたんだろ...」 またメッセージを入れても既読は付かなかった そして結局その日連絡が来ることは無かった 翌日 ガラガラガラ... 病室のドアが開いた 「!!!」 「(航平...!?...じゃない、)」 「おばさん!?」 病室に来たのは航平ではなく、 航平のお母さんだった 「どうしたんですか?」 「侑斗君、具合はどう?」 「大丈夫です...」 「あ、あの!航平!航平が昨日ここに来るはずだったんですけど...来なくて..連絡もつかなくて!」 俺は焦りなのか心臓の音が聞こえそうな程早くなった 「......」 「今少し病室出ても平気かしら?」 「はい」 「ついてきてくれる?」 とりあえず... 航平に何かあったのはこの時理解した... 連れてこられた場所はICU(集中治療室)だった 「え?..…ICU?」 「あれが航平...」 そう言われ窓ガラス越しに見えたのは 体にたくさんの線が繋がり 酸素マスクを付けられて寝ている人だった 「え...?なんで...?」 この状況に理解が追いつかなかった 「航平..…?え?だって....え....」 傷はあるが見るからにあの横顔は いつも見ていた航平に間違いない... 俺が見間違えるはずがない... 「な…んで...?」 「急に連れてきてごめんね」 「たぶん....ここに来る途中に..事故にあったの」 「......事故?」 「「近くで交通事故があったんでしょ?」」 「!!!」 あの時聞いた話は航平のことだったんだ... 「航平!!」 「航...平...ウッ...」 涙が溢れ止まらなかった
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