生きてる...

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生きてる...

その日の夜... 俺は航平の家族と共に病院でICUの椅子に座っていた 医者も看護師も緊張ですぐに動ける様近くにいた そして朝方になり 医者が航平の容態を確かめたが変わりはなかった 「乗り越えましたので多分大丈夫でしょう。まだ油断はなりませんのであと2、3日は様子を見て変わりないようであれば病室を移動しましょう 」 「はい。ありがとうございます」 「良かった...」 俺は緊張の糸が切れ椅子に座り泣いた あとは航平が目を覚ますのを待つだけだ 航平の家族は家に帰り、俺も病室に戻り眠りについた . . そして2日後、航平はまだ目を覚ましていないが 一般病棟に移された 俺は航平の近くにずっといた 手を握ったり顔に触れたり 周りの目を盗みこっそりキスをしたり 「(やっぱり起きないか...)」 王子様のキスで目を覚ましたとか言うけど それはやっぱりお話のだけだった 「(そもそも俺は王子というより姫側だったな)」 それから数日が経ち、俺は退院した 航平のいない部屋... 毎日いた航平の部屋は広く感じた 「航平も俺がいない時はこんな風に感じたのかな....」 航平が恋しくて...寂しくて... 俺は航平の匂いのする布団で航平に包まれながら眠った 毎日航平の病室へ行き航平を見ていた それでも航平は目を覚まさない 「航平。早く起きてよ。俺待ってるんだから」 「(早く聞いてよ。俺の告白...)」 航平が内定を貰った春頃から時は経ち、 夏を迎えていた 航平は少し前に自発呼吸が難しくなった それでも航平はまだ生きてる... 「航平の声が聞きたい...」 そして数日後、起こって欲しくないことがおこった 「....…..」 「………」 カチッ カチッ... 「これをもって...脳死と判断致します...」 「14時27分...ご臨終です」 「!!!」 「.....ウッ、航平...ッ」 「航平!!...先生!航平生きてるよ!そのうち起きるって!」 「.....必要な検査はしました。その上での判断です...」 「そんな..航平!起きてよ!!早く起きないと死んだことになっちゃうよ!!航平!!!.....航平ッ」 そんな俺の言葉は航平に届かず、何も反応しなかった.... 死亡と判断された航平は他の場所へ移された 「航平...」 そして翌日、おばさんから連絡を受け 一緒に住んでた家など今後について話し合った あの部屋は俺と航平の思い出の場所だ 俺はこれからもあのままの状態で残して 住んでいくと決めた そしてその2日後にまさかの連絡を受けたのだった
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