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「そうだけど」
大和くんは平然と答えた。
―――え?
私は、足の力が抜けてへにゃりと座り込んだ。
「はぁ?えっ?あり得ない…真弓の告白断って、土屋さんとか、ムリ!」
「ムリ!って言われても、俺の気持ちだから、真弓には関係ないよね。」
「え、何で?土屋さんなんて普通じゃん、友達いないぼっちだよ?」
何なの、これ夢なの?
狼狽える私をよそに、里美が「はは!振られてやんの…自信あるってあんだけ言っててこのざまぁ」と、ニヒルな笑みを浮かべて小声で呟いた。
私は何が何だか、全ての事が現実とは思えず、内頬を強く噛んだ…が、当たり前に痛かった。
「何で真弓にそんな言われなきゃなんないの?土屋さんは心根の優しい人だよ。信頼できて心を許すことができる。繊細で内向的だけど、すごく面白くて、一緒にいると楽しい…だから好き。俺の勝手だろ。」
大和くんは静かに言った。
「うわ…ダルー…萎えたー…」
真弓はそう言い捨てて美術室から出て行った。
そしてそれを追いかけるように里美が「あ、待って…真弓ー…」と飛び出していった。
「うわっ…え?」
大和くんは、突然美術準備室から里美が出てきたことに驚きの声をあげた。そして、準備室を覗きに来て、座り込んだ私とバッチリ目を合わせた。
「え!?土屋さ…いつから…?えっ…今の……嘘…」
大和くんは顔を真っ赤にして狼狽する。
事の成り行きに私の思考は追い付けずにいたのだが、大和くんの様子を目の当たりにして、私も急に恥ずかしくなって顔が熱くなった。
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