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ほんの数秒の沈黙の後、大和くんは振り返ってまた私の前にしゃがむと「じゃあ、両想いだね?」と、私の手を掴んで立ち上がり、その反動と共に掴んだ手をゆっくりぐいっと引いた。
大和くんの手は、思っていたよりもずっと大きくて、力強かった。
私はいつの間にか立ち上がっていて、大和くんと向かい合わせに手をつないでいる。
想像では得られない現実な感覚に、心臓は早鐘を打ち、私は正しい呼吸の仕方を忘れてしまったように息苦しかった。
「そうだ!デートしに行こう!明日…土曜だし、図書館じゃない所…どこがいいかな…映画?動物園?ちょっと電車で隣町とか…」
大和くんは頬を赤らめたまま、楽しそうに話しだす。
私はうんうんと、頷いて「大和くんとなら…どこも楽しい…」と言葉をつまらせながらそう返すと、大和くんはニッコリ笑った。
「とりあえず、今日の帰りは一緒に図書館行こうか」
妄想ではない、本当のデートの約束が嬉しくて、笑みが溢れる。
「もうこんな時間、休み時間終わっちゃうね…戻ろっか…」
私たちは肩を並べて、教室へ向かった。
隣にいる大和くんをチラチラと盗み見しながら、午後の授業は大和くんとの妄想デートで忙しくなるのは間違いないなと思った。
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