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『田部 大和です!今、図書館いるけど来れたりする?』
下校途中に大和くんからLINEが入った。
最初のメッセージはいつくるのかと、ずっと待ち構えてスマホを握りしめていたので、瞬時に既読がついて気味悪がられていないか少し心配になる。
数秒置いて『行きます』と返事をした。そして、スタンプもつけるか迷って指が止まる。
でも、そんな悩みを打ち消すように、大和くんから速攻で『やった!』と、喜びのダンスをする愛くるしい謎の生物のスタンプが返ってきて、私はクスっと笑ってしまった。
すれ違うOLのお姉さんが、そんな私を横目に含み笑いを浮かべた。
いつもなら恥ずかしさのあまり、しばらく顔が上げられないのだけど、今日の私は一味違う。
綻んだ顔を誤魔化したりせずに『いま行くよ』と、ウサギのスタンプを送った。
「土屋さん、こっちこっち!」
天窓のある開放感のある図書館の二階のフリースペースで、私を見つけた大和くんが大きく手を振った。
読書中のおばさんに「シィー」っと、注意されて小さくなる大和くんがなんか可愛い。
「早かったね」
「うん…来る途中だったから」
私たちがコソコソ話しているのを、おばさんはまだ睨みつけている。
「ホールのベンチに移動しようか…そこなら話できるよね」
「そうだね…」
私は震える手をギュッと胸の前で握りしめて、大和くんの背中を追いかけた。
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