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 「私は…」  私は怖いのだ。  他人から嫌われるのが…  他人を信じるのが…    ―――「萌音ちゃん気持ち悪い」    小学六年生の修学旅行で、当時仲良しだったミッチとこっちゃんと、恋バナになった時に二人にそう言われた。  深夜のハイテンションが手伝って、私は当時好きだった啓太(けいた)くんと妄想デートする話をしてしまったのだ。  それからその話は尾ひれがついて、クラス中に広まって、私は孤立した。  ミッチも啓太くんが好きだったのだ。  啓太くんからも「キモい、やめろよ」と冷ややかな目で見られ、他の男子からは変態扱いされ、クラスの女子からは私は存在しない者として扱われた。  だから私は本や物語に逃げた。  『そうだ、妄想の世界に行こう…』  妄想の世界だけは私を裏切らない。  何でも思い通りになる。  気持ち悪くたっていいもん。  中学へ上がるタイミングで、運良く父の転勤が重なって、いくつかの市を跨いで引っ越すことになった。  それからは、人とはうわべだけの付き合いしかしなくなった。  来る者は拒まず、去る者追わず。  そんな私に友達なんかできるわけなく、いつの間にか一人でいることに慣れてしまっていた。  「どうして……どうして、大和くんは私に声をかけたの?」
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