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「前から図書館でよく見かけて、充希のクラスの子だって知って…」
そこまで言うと、大和くんは何故かバツの悪そうな顔をした。
気のせいか、ほんの少しだけ顔が赤い気がした。
「それで……あのさ、違ったらゴメンだけど…土屋さんは充希のこと…好きだったりする?」
「えぇっ!?」
完全に意表をつかれて、つい大きな声が出てしまった。
「…何で?」
顔に出てた?
そんな…まさか…
あの時のことがフラッシュバックする…
『萌音ちゃん気持ち悪い』という言葉が聞こえる気がした。
「土屋さん?大丈夫?顔色悪い…」
俯いた私の顔を大和くんは心配そうに覗きこむ。
「……じゃない…好きじゃ…ない」
私はやっとの思いで声を絞り出した。
ただ、素敵だなと憧れていただけ…
「ごめん、俺…急に変なこと聞いたよな……忘れて!」
大和くんは、今にも泣きそうな私を気遣って、慌ててそう言った。
大和くんの心配そうにする顔は、子犬みたいに愛くるしく、優しさが滲み出ていて胸が締め付けられる。
「私は……人と関わるのがこわい…」
脈絡のない私の言葉に、大和くんは「え?」と、目を見開いた。
「私は嫌われるのがこわいし、裏切られたくない。だから…妄想する……物語に逃てる…」
大和くんはほんの少しの沈黙の後に「そっか…」と静かに言うだけだった。
本当は私だって…
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