結城都とチームアメジスト

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結城都とチームアメジスト

 室内にいたのは五人の人物。三列に並べられた九台の机に、点々と着席していた。    それぞれの机にネームプレートが載っている。隣に添えられたシェパードのぬいぐるみは、遊び心だろうか?  私の席は真ん中の列の一番後ろ。くーちゃんはその隣で、廊下側の一番後ろのようだ。 「……結城さん?」  座席に着いたところで、前の席の女の子が声を掛けてきた。  利発そうな大きな瞳が、卵型の輪郭の中で宝石のように光っている。テレビの中でしか見たことが無いような規格外の美貌。 (うわぁ、なにこの山羊坂46にいそうな美少女……!)  私が固まっていると、女の子がにこっと微笑んだ。 「あたし、藤堂愛菜(あいな)っていうの! よろしくね」  彼女はフェミニンな白いブラウスに、ローズブラウンのハイウエスト・スカートを穿いている。足元はピンヒールの白いサンダル。腰まで伸ばしたさらさらの髪は、派手すぎないライトブラウン。  なんていうか、これぞ清楚系お嬢様って感じの子だ。ううむ。こんな子がアイドルになったらあっという間に人気が出そう。 「こっちこそよろしく。都でいいよ」  気を取り直して挨拶を返す。 「都ね! ねえ、都は何年生? あたしは二年生」 「私も二年」  私が言うと、女の子――愛菜は「一緒ね!」と両手を合わせ、瞳を輝かせた。  リアクションはやや大げさだけど、嘘っぽさを全く感じさせない子で、話していて気持ちがいい。  良い子そうだし、ここはもう少し距離を縮めておきたい。話の接ぎ穂を探していると、廊下のカメラマンが目に入ったので、話題に上げてみる。 「もうカメラ入ってる。なんか緊張しちゃうよねえ」 「確かに」  愛菜が同意してくれる。そして、可愛らしくウインクした。 「でも大丈夫、すぐに慣れちゃうわよ」 「……?」  なんか含蓄のある言い方だ。首を傾げると、なんてことない調子で彼女は続けた。 「あたしね、『劇団ハ二―ポップ』に所属していて、芸歴自体は結構長いの」 「げ……」  私は思いっきりのけぞる。 「劇団ハ二―ポップ? 芸能人?」 『劇団ハ二―ポップ』とは、人気俳優が多数所属する劇団兼芸能事務所だ。
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