その1 海岸縁のバラック集落(3)

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その1 海岸縁のバラック集落(3)

 それから、2回程はなんとなく、サイクリングロードが砂利道となるその集落の手前の所で折り返していたのですが、もう一度地図をじっくりと眺めてみると、左に大きくカーブした先はまた右方向に真っすぐの道になり、サイクリングロードとしては、後5km程はあることがわかりました。  (なんだ。サイクリングロードはまだ途中で、先まで続いているじゃないか・・・でも、あそこからずっと砂利道だと、ちょっと走り辛いかな?)  そんなことを思いながら、またじっくりと地図を見てみると、カーブの先の砂利道から集落の外れが始まっているのですが、5万分の1(2万5千分の1?)の地図には1つ2つの建物しか掲載されていません。 (?)  そこから内陸に200~300m程入った大きな道路の周辺には大小様々な建物の形が地図の上には掲載されており───、なにより、〇〇町△丁目と番地も記してあるのです。  でも、集落とおぼしき辺りには、なんの町名も記してありません。 (??・・なんで町名が無いんだろう? 漁とかそういうときの仮の建物なのかな?)  などと、いろいろ考えましたが、 (そうだ! 砂利道が続くかもしれないけど、地図にはちゃんとサイクリングロードとして記してあるんだから、もう少し先まで行ってみよう!)  そう、思い次にサイクリングロードに行ったときに、初めてその集落に入ったのですが、殆どバラックのような家が連なり、だいたいはサイクリングロードより陸側に建っています。 (・・もしかして廃村になった所なのかな?)  そう思いつつ、ふと、ある一軒の家の前の物干し竿に、何か薄灰色のシャツとパンツのようなものが干してありました。 (あれ? じゃあ、やっぱり、誰か住んでいるのかな?)  自転車で人が歩くよりやや速い速度で通過しながら、そんな風景を見て思ったのですが、全く人が出歩いている様子はありません。 (???・・変な所だな)  やがて、150m程の集落を抜けて、道はちょっと凸凹した砂利の直線道路で、左右は杉?の高い木がずっと並んでいて、少し薄暗い感じで、500~600mはある結構長い道でした。  この後の道はあまり正確に覚えていないのですが、道の両サイドが杉?林の外れから高い草のある場所に行きつきましたが、ある場所で急に道が細くなり、しかも道の真ん中に金属の杭が立てられていて、一旦自転車を降りて押さないと通過できないようなゲートに行き当りました。  しかし、そこからはまたサイクリングロードは元の幅で、しかもアスファルトになり走り易くなりました。 (???・・一体、さっきの杭は何の意味があるんだろう? サイクリングロードの真ん中に立っていて、結構邪魔なんだけどな??)  そのときは、あまり深く考えずに、そこからちょっと行ったところで折り返し、また、元の廃村のような集落を通り抜けましたが、また誰とも会いませんでした。  ──でも、干してあったシャツとパンツは取り込まれたのでしょう───、物干し竿にはありませんでした。 (続く)
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