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一人はこちらに背を向けており、色黒で上半身裸のムキムキ筋肉で、下半身はなにか上半身をはだけたときの白い布で覆われていたのですが、実は見たのがほんの1秒にも満たない短い間だったため、他の二人の姿はよくわからなかったのです。
左手奥に居たのが、大和時代の服(腰ひも)を着たような白い肌?の小人で、右手奥に居た小人は小人であることは認識できたのですが、あまりに短時間だったため、その姿はわかりませんでしたが、細い身体だったようにも思います。
一瞬の後、こちらに背を向けていた色黒が首だけこちらを振り向いて叫びました。
「やばい!! 隠れろ!!」 (たしか、このような台詞)
そう言うか言い終わらないうちに彼らの姿はちゃぶ台の上から消えたのですが、子供の目も大したもので、瞬間的に彼らが部屋の鴨居までジャンプした軌跡が見えました。
G氏は鴨居を見ますが、なにかおぼろげに動くものがありますが、その姿を鮮明に捉えることができません。
でも、何か声が聞こえます。
「ずらかれ!! 〇%△$※!!」
後は、もう何を言っているのかわかりませんでしたが、G氏はお茶の間に置いてあった新聞紙を丸めてジャンプするように鴨居を叩いていきました。
最後に、「$%※#¥--!!」と遠ざかり小さくなる声を聞いたのが最後でした。
必死に鴨居を新聞紙で叩くG氏、そこに父親が茶の間に帰ってきて───
「なにやってんだ?! G?!」
「なんか、いたんだよ! 小人みたいなのが!」
「はぁ? それじゃあ、踏み台使って探してみろよ」
そう言って父親は踏み台を洋間(玄関の横にあり、普段はいろいろな物置場として使っている)
から踏み台を持ってきたので、それをG氏は鴨居の下に置き、上って鴨居の隙間を見たり、また、バンバン新聞紙で叩いたりしたのですが、もう何か居る気配はありません。
「ネズミか、なんかじゃねえの?」
父親はそう言い、そこに母親も戻ってきて「ネズミがいたの?」と聞くので、
「なんか、小人みたいなのがいたんだよ!」
と、言いましたが、信じてもらったのか、もらえなかったのか、あいまいな返事で、
「ああ、そう、小人ね・・・Gに会いに来たのかもね」
などと言われました───
───、それから後のことは記憶には残っていないのですが、小人なのか妖怪なのか?そんなものを見たのは生涯でこれっきりでした。(今後、見ることはあるのか??)
****
それから、何十年も過ぎ、自身の子供とともに、子供の絵本や図書専門の図書館に行ったときに、たまたまある本を見つけて、その内容を読んでいるうちに、ハッと子供の頃に見た小人?妖怪?を思いだしました。
(あれを・・コロボックルというのかな?・・・いや、やっぱり、何かの妖怪だったのかな?)
(その2・・・完結)
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