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「まあな。で、一つ気になってることがあって、ミドリは自分のことを〈鳥族でうそつき〉だって言うんだよ」
「えっ? 鳥族の何?」
「鳥族って聞いて、鳥料理の家族経営の店みたいだなって思ったよ。その上、うそつきだって言うんだから、どういうつもりなんだか。そして、それでもいいの? って訊く。よくわからないけど、何かしらのキャラ付けかなって思って。それに、問い返すのも悪いような気がして、いいよーって言った」
「ちゃんと訊かないと、そこは」
「だって、彼女はうそつきだって言ってるのに、全くふざけているようには見えないし、あの目で信じてほしいと訴えられたら、つい……。対抗してふざけたつもりは特になかったんだけど、実は犬族なんだ、って言った」
「はぁ? 犬族だって?」
ミドリが戻ってきたので、僕はマモルに目配せし、黙った。
「ミドリさん、突然なんだけど、訊いていい? さっきトウマから聞いたんだけど、鳥族なんだって?」
「はい。トウマさんは犬族だということで、すぐに信じてくれたんですけれど……。普通は難しいですよね。マモルさんも犬族ですか?」
「まあ……。ただ、あんまりそういうこと、あちこちで言わない方がいいかもね。ミドリさんの親さん、親さんたちはこいつとの結婚を反対しなかったの?」
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