三.

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三.

そして八月十四日以降は、何度開いても更新は無いまま、二日が過ぎている。 ではこれで本当に『さいご』か。 天井の画像を見詰めていると、ふいに振動とランプの点滅と共に、着信画面が表示された。 妹の此乃美(このみ)だ。 「どうかした?此乃美(このみ)。 もしかして」 『えぇ、ついさっきね。 忙しくなるわよ、眞乃歌(まのか)』 「そう、じゃあ、やっぱりやっと死んだのね」 『やっぱりって、なんで知ってるのよ』 「あいつにスマホ持たせたの、あんたでしょ?」 『それが何よ、連絡でもしてきた?』 「違うわよ。 あいつ、ミニスに本名フルネームで毎日ずっと妙な写真上げ続けててさ。 それが一昨日急に止まったから、もしかしてと思って」 『ミニス? 妙な写真? それまさか何かマズい証拠になったりしないわよね? なんとか消せない? ああもう、最期ぐらい楽しい動画でも観てたら?なんてスマホ渡すんじゃなかった』 「いや、まぁ、あんなのは証拠とかにはならないと思うけど、写真も文章も。 後で見てみたら? それより」 『そうね、埋葬の手配ならもう済ませたわ。 弁護士も呼んであるから、二人で平等に分けましょ』 「ふふ、ここまで来て()め事は避けないとね、はしたない。 あいつが一人で相続してた何十億を、あたしたちたったの二人で分けるんだもの、争う必要なんて無い」 『じゃ、明日』 「いえ、今夜には行くわ、早く済ませたいし」 『せっかちね』 さて、早速行こう。 着いたら前祝いね。
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