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四.
だが一年後、私たち姉妹の前に、警察が訪れていた。
「私たちが何をしたって言うんです?」
「あの人は身動きもろくに取れない難病を患っていたのよ?
それで寝たきりで、そのまま亡くなったってだけ。
よくある話じゃない」
そうだ、よくある話だ。
医者も匙を投げたんだ、私たちただの一般人に何ができるものでも無い。
それで死んだからって、誰に何の罪がある?
だが、一人の刑事が険しい表情を緩ませぬまま告げる。
「『保護責任者遺棄致死罪』ってご存知ですか。
あなた方、その身動きもろくに取れない人を、三ヶ月近くも狭い半地下の物置のような部屋に放置してたでしょう?」
「そんなこと、するわけないじゃないですか」
「そうよ、一体何の証拠がありまして?」
本当は心当たりはありすぎるほどあったが、私たちはしらを切る。
わかるものか。
たいがいどこの誰でも、寝たきりのやつなんてのは最期は適当に放置されてぞんざいに死んでいくものだろう?
そんな当たり前の事にいちいち首を突っ込んでいては、警察も仕事になるまい。
しかしそんな私たちに、並んだ刑事のうちの誰かが舌打ちを鳴らし、クズが、とつぶやいた。
「ちょっと、今、誰か何か……」
そいつを利用して難癖つけてさっさと追い返そうと、大きな声を上げかけた。
が、
「失礼。
このSNSに見覚えはありますかね」
先頭に立つ、いかにもベテラン刑事といった大柄な中年が割って入り、手にしたスマホの画面を示した。
そこには、あの、天井の写真が表示されていた。
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