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言えない理由
「ねぇ先生、私たち別れよう」
放課後の屋上には私たち二人だけ。
そして、私が別れ話を
しているのには理由がある。
紫垣先生に脅されているからだ。
普段の私なら脅されただけで
別れようとは思わなかっただろう。
しかし、別れなければ
先生に大怪我をさせると言ってきた。
保健医である先生が
大怪我なんてしたら大変だ。
「何故、そんな事
今更言い出すんですか?
私と居るのが嫌になりましたか?」
私だって出来ればずっと居たいけど、
先生が大怪我するくらいなら
別れた方がましだ。
「先生のことはずっと好きだよ。
だけど、ごめん、別れて」
何時か、本当のことを
話せる時がきたら言えばいい。
だから、その何時かまでさようなら。
返事を聞く前に私は先生を
置いて屋上を出た。
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