EPISODE2・裏方希望なんですが…

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EPISODE2・裏方希望なんですが…

「今年は、沢山入部希望者がいて、嬉しいわ。」 部室で、3年生の先輩が、満面の笑顔で、私達、新入部員の1年生達を迎えてくれた。 入学してすぐ、新入生向けのオリエンテーションの一貫で、部活紹介があった。内の学校、部活は入っても入らなくてもいいらしくて、何割かの生徒は間違いなく帰宅部だ。 私は、これっぽっちも帰宅部になるつもりはなくて、真剣に紹介している先輩達の話を聞いていた。そして、絶対に文化系の部活に入ると決めた。 こう見えて、中学の時は、軟式テニス部だった。でも、常に補欠だった。何故なら、私より数段、テニスの上手い子達がいたからだ。顧問の先生は、私のことを買ってはくれていたし、レギュラーにはなれないけれど、ここという時に声を掛けてくれて、モチベーションが下がらないようにしてくれていた。 林間学校の自由時間に、将棋が趣味の先生が指す相手を探していたが、誰も将棋のルールを知らなくて、唯一知ってた私が相手をしてから、たまに将棋しないかって誘われたりもして、特別感が楽しかったし、嬉しかった。 でも、肝心のテニスの腕は上がらなくて、その上、手首が弱いって気が付いた。私は、前衛だったから、ボレーやスマッシュを決めなきゃいけないのに、そのせいでボールに負けていた。致命的だよ。 高校でもテニスやってもよかったんだ。だけど、上を目指して鍛えている子達の足を引っ張りたくなくて、応援に回ることにした。 その代わり、本当に好きなことをやろうって決めたんだ。 さあ、やるよ!まずは、入部届を出した。活動日さえ重ならなかったら、文化系は、学校に認められてる部と、条件が揃ってなくて部になってない同好会に、複数入れるのだ。 私は、演劇部とアニメ同好会に入ったんだ。 「さて、内の部は、部員が少なくて大掛かりな劇は出来ないんだ。だけど少ないなら少ないなりにやれるものもあるしね。今年は、私達、先輩陣より君達の方が人数多いし、やれることが増える。 さて、今一番の問題は、役者が少ないことなんだ。 だから、全員が役者をやれるように、基礎練習は、全員やってもらうよ。」 ええっ!!…私、裏方希望なんだけど、役者やらなきゃ駄目なんですか?! 裏方で大道具や小道具作りをしたくて入部したのに、役者をやらなきゃならないなんて…。 聞いてないよ…。 心の中で泣きそうになっている私がいた。
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