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誰か、嘘だと言ってよぉ〜。
「…はい、後3回、2回、ラスト!」
うげぇ…なんで、ここで腹筋やんなきゃならないのよ…。運動部じゃないでしょ…。
私は、文化部に入ったはずなのに、このハードさは何?
「演劇の基本は、発声。大きな声は、腹筋を使って出すの。大きなを出せって言われて喉だけでやってたら、声帯壊すよ。」
いやいや、私はね、役者やりたくて入ったんじゃないのよ…。選択間違えた?そんなことはない。私のやりたいことは、舞台の裏方なのよ。絵を描きたいだけなら美術部入るし。
「…せんぱぁい…もう、だめですぅ…」
音を上げる新入生を横目に、先輩達は、次の背筋を終えて休憩に入ってる。
「次、発声練習行くよ。並んで。」
アエイウエオアオ。カケキクケコカコ。サセシスセソサソ…
五十音の順番を入れ替えて、1音ずつ発声していく。これがさっきの腹筋に繋がるのよね。1音出すたびに、お腹が上がり下がりする。
「ほら、気を抜かない。」
今日の指導係の先輩が、お腹と背中を出て押さえてすぐ腹式呼吸を止めそうになる私達に、喝を入れてくれる。
基礎練習は、大分と慣れてきたけど、慣れないのは、周りの視線だ。
舞台の上で、ジャージ姿の私達が、腹筋や背筋やりだすわ、訳のわからん言葉の羅列を大きな声で、合唱のように声を揃えて出すんだからね。下で部活やってる運動部にしたら、一体何事だと思うよね。ほら、またコソコソとこっち見て話をしてるよ。悪いことしてるわけじゃないのに、なんか居心地悪い。
まだ、次の演目も決まってないし、大道具も小道具もないよね。今はただ、部活のみんなと先輩達に付いていくしかないんだよなぁ。
私の希望は、いつ叶うのだろうか?
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