EPISODE3・秘密の小部屋

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そこは、学校の中で一番高い場所だった。 「みんな、絶対立ったままでいないでよ、危ないから。それに、他の先生達に見つかると大目玉の上に、下の部屋使えなくなるからね。」 ここは、給水塔で頭の上にあるタンクには水が入っているのだとか。通常は、点検の業者さんしか来ない場所だ。 登ってきた四角い穴の周りに、私達は、思い思いに座り込んでいた。全員登りきったところで、部長の話が始まった。 「演劇の舞台で使うものってさ、何気に大きいんだよね。部室に収められるなら、そうすればいいんだけど、みんなも知っての通り狭いよね。少ない部員で、あの密度だよ。到底、大きな物置けないわけよ。舞台ごとに衣装も変わるし、どうしようかと私等の先輩方も悩んでいたのよね。 そこに天の助けが差し伸べられたの。顧問の先生が学校に掛け合ってくれて、条件付きで下の部屋を貸し出してくれたのよ。」 「あのう、条件って何ですか?」 「良い所に気が付いた。これは、みんなの心に刻んでおいてもらわないとならないこと。 ひとつ、使用する時は、顧問が付き添い、鍵は顧問が管理保管する。 ひとつ、演劇部の舞台用の大道具と衣装の一時保管場所として貸し出すので、学校が必要になれば、されらを即引き上げ、学校に返すこと。 ひとつ、ここは、給水タンクの点検等に業者が入る場所なので、作業のある日は入ってはならない。 ひとつ、給水タンクのある場所は危険なので、生徒は立入り禁止。 ひとつ、他の部には、このことを話さない。」 「話せるわけないじゃないですか。こんな美味しいこと。」 「そうそう。特別とか秘密のことは、話したくなるけど、こっそり楽しむものですよ。」 私を含めてみんな同じ様なことを考えていた。
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