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EPISODE4・目指せ全国
ゴールデンウイークが終わるとすこしばかり学校の中がざわざわしてくる。
新入生も新しい環境に慣れてくるし、学校行事も次々とあるからだ。
部活においても、夏に向かって、運動部なら地区大会が始まるし、文化部なら各種コンクールの案内が届き始める。我が演劇部も、そんな流れの中にいた。
「演劇部は、毎年、高校演劇の全国大会に参加しています。と言っても、創部以来一度も全国大会の本選には行けてないんだけどね。
全国大会に出るには、まずは、ブロック大会の上位でないといけない。私達は、まず、そのブロック大会に出るための地区予選に参加するわ。」
「まるで、運動部みたいだ。」
「仕方ないわよ。全国の高校全部を一同に集めて大会しようと思ったら、どれだけの日数と場所がいると思ってんの。考えるだけで恐ろしいわよ。」
「それは、そうだよね。確かに一回では無理あるよね。」
「ま、そういうことで、内の高校が入ってる地区大会に参加します。それで、この大会が終わったら3年生は引退になります。」
「うわっ、ますます、運動部っぽい。」
「3年生は、受験があるから夏から秋に掛けての大きな大会に参加して、そこで引退ってのは、運動部も文化部も同じよ。
それでね。大会の結果はやってみないとわからないから、それは、ちょっとこっちに置いといて、その後のこと。2学期の初めの方に文化祭あるから、そこが、私達の最終舞台になるわ。」
3年生とは、後数ヶ月しか一緒に部活できないのか…考えたらちょっぴり悲しいな。
「演劇部として、やりたい演目がいくつかあるんだけど、はっきり言って人数が少なくて無理かなって思ってたんだ。1年生が入ってくれて、なんとかやれそうだって今は思ってる。みんな力貸してくれる?」
演劇部に入って、劇をやらないなんて選択肢あるわけない。どんな形でも上演出来る場があることは、幸せなことだ。
3人しかいない3年生が、来年の春、気持ちよく卒業出来るように、そして、私達にとっては初めての舞台を後悔ないようにやり切りたい。
みんなで心をひとつにして、頑張ろうと決意をしたんだ。
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