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カラフルなカプセル錠とにらめっこしながら、頭をフル回転させた。もしこの薬のお陰で私がモテているなら、今朝の仕打ちは納得できる。でも……。
薬のせいなんかではなく、このモテ期は私の実力なら?薬を飲んでも見た目が変わった訳じゃない。
薬はキッカケで、眠れる女子力が開花しただけなんじゃ……。確かめたい!薬は後3日分しかないのだから。
夕方、私は紗希を呼び出した。
リーズナブルなレストランを選んだのは、これからも男達にチヤホヤされるため。新しい服にバッグ、お金は必要だから女友達と食べ物に散財するのは卒業だ。
「春菜、おまたせ!」
ジーンズにシンプルなシャツの紗希は、ニコニコと座る。
「お腹ペコペコ、何にしようかな?」
さっそくメニューを開く紗希は、ハンバーグにしようか、エビフライにしようか迷っている。注文をすませて、とりとめのない話で場をつなぐ。紗希は時々不思議そうに私を見て、首をかしげるけど、当たり前よね?私はモテ女になったのだから。
「春菜、ハンバーグ一口あげる」
「いらない。ダイエット中だから」
紗希は、気を悪くした様子もなくそのハンバーグを口に運ぶ。そろそろ頃合いかもしれない。
「紗希、顔色悪いね?仕事が忙しいの?」
「そう?激務ってほどじゃないけど……でも春菜とご飯食べたから元気になれるよ」
私は紗希にとっての飯友なのね?ガバガバ食べる私を、ホントは笑っているんでしょ?それも今日まで。私はバッグから、カラフルカプセル錠を出した。
「これ、私が愛用している疲労回復のサプリメント。飲んだら楽になるよ?」
プチンプチンとカプセル錠をテーブルに落とす。
「春菜、ありがとう!やっぱり優しいいつもの春菜だー」
紗希はなんの疑いもなく、カプセルを口に含むと水で流し込んだ。
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