雨の日の処方箋

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雨の日の処方箋

 - Prologue -  恋人の御堂は絶対に弱ったところを見せてくれない。人間なのだから風邪を引くことも、風邪まではいかなくとも調子が悪い時だって少なからずあるはずなのに決してそのような素振りを三神峯に見せたことはない。それは御堂の癖なのか意地なのか、きっとこれからも”そう”なのだろう。  だけどひとつだけ、御堂は雨の日が好きではないようだ。どうやら低気圧の影響で頭痛がするらしく、深くため息を吐きながら頭痛薬を口にする彼はいつも心なしか機嫌が悪かった。もちろん、薬を服用するところを含めそれを三神峯に見せたことはない(と、本人は思っている)が。   *  *  *
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