第二節、Second Story。

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第十話『過去編:序章五話。』 『よぅ。大丈夫なのか?』 そこは学園の保健室と見受けられるような場所であり、一つのベッドに愛奈が仰向けになっていた。 愛奈『…結構きついかも……』 先日、鈴からの連絡があり、それを確認したところ、どうやら愛奈の発熱が確認されたらしい。 ただの風邪だとは思うのだが、それでも念のためだ。愛奈は少し不機嫌そうに言っているが、疲労の方が強いのか、ぐったりと寝そべったまま目を瞑っている。 『ほら、土産のいちごオレとロールケーキ。ちゃんと他の物も食べろよ。』 そう言って、少年は袋から何個かそれを取り出し、机の上に置く。ベッドの周囲にはカーテンがあり、衛生面もきちんとしているのが見受けられた。 麟瞳『あんまりどうこう言うのは好きじゃないんだけどさ、ここは病院じゃないんだよ?学園だよ?なんで普通にお菓子とか持ってきているのかな。』 その女性は山吹色の髪の毛を白いリボンで留めていて、白色の眼鏡を顔にかけていた。 『そんぐらい許してくれよ、兄妹なんだからさ。』 麟瞳『まぁ別に私はそれぐらいは良いのだけれど、他の先生にバレたら面倒くさいことになるんだよね。』 『じゃあそこにある酒缶は?』 そう言い、少年は書類や、酒缶が積まれている机を指差した。 麟瞳『あ~これ?大丈夫だよ見つかりそうになったらすぐ隠すし。』 『そういう問題なのか?』 そんな雑談を最後にし、少年は保健室を出て、廊下を歩き始めた。 『準決勝まで、気が抜けねぇな……』 次の準決勝相手は、今のところわからない。だが、これを乗り越えれば、いよいよその先は鈴との対戦である。鈴は別の会場で勝ち抜いていて、既に準決勝も勝って決勝までいっている。 あとはその準決勝で勝敗が決まるのだが……その前に。 準々決勝が、今日決まる。 少年は名簿欄を取り出し、それを見る。 『対戦相手は………博麗霊夢と、』 その瞬間。前から何かが迫ってくる音が聞こえた。 『うわっ、ちょっ、待っ、止まれぇぇぇぇ!!!!!!!!!』 そんな絶叫を発しながら、謎の人物はこちらに迫ってくる。 少年は軽く構えるように右手を前に出し、その眼の前の人物が直前まで着た所で、少年は右手を動かし、その人物の身体を流れるようにいなし、天井にぶつけさせた。 『っだぁ───────!?!??!?』 その人物が天井とぶつかり、悲鳴とまるで本坪鈴が鳴らされた時のような衝撃音が響き渡る。煙が辺りに立ち込め、少年は軽く咳を一回した。 『いったた……まさか試合前にこんな誤作動が起きるとは思わなかったぜ……まぁ、これで試合中の不幸を一つでも消せれたと考えたら、ヨシだな!』 一体どういう教育をしたら人にぶつかりかけといてこんなポジティブ発言ができるのだろうか。 少年がある意味感心をしていると、その煙から少女は現れた。 その少女は黒い服を身に纏っていて、金髪にフリルが付いた衣装、黒色のスカート、そして黒い大きな帽子が特徴的だった。 右手には掃除に使うには少し躊躇うような、かなり整えられた箒を持っていた。 その少女は憎めないような笑みを浮かべながら、無邪気にこう言った。 『いやー悪かったな!八卦炉が誤作動起こして吹っ飛んじゃったんだ!でもなんとか止まれて良かったぜ!』 と、こちらの気も知らずに若干早口気味で少女派そう言った。 魔理沙『私の名前は霧雨魔理沙、普通の魔法使いさ!気軽く魔理沙って呼んでくれていいぜ!』 なるほど、初対面でグイグイ来るタイプか。なるほどなるほど、某ラノベとかだったらやれやれと言うところだろうが、数々の個性が強いキャラに囲まれてきた少年にとっては、対処など簡単な話だった。 『あぁ、次の対戦に出る人だろ?噂でもちょくちょく聞いてるさ。』 魔理沙『おっ、噂の一年生に知られてるんじゃ、私も少しは注目されてるってことなのかな。』 と、彼女は気になることを口にした。 『噂の一年生?』 魔理沙『なんだ、知らなかったのか?結構有名なんだぜ、アンタさ。中学じゃあ無双していたらしいし、今も順調に準決勝まで勝ち残ったじゃないか。』 どうやら気づかない内に、そこそこ有名になっていたらしい。確かに、言われてみれば入学当時より視線は増している気がしていた。 全然気にしていなかったのも事実だが。 魔理沙『あ、そろそろ時間だ。じゃあ、私は会場に行かなくちゃいけないから、できたら試合観に来てくれよなー!』 そう言い残して、少女は去っていった。なんとも、陽気な人物だった。少年は一人、そんなことを考えながら、会場へと向かったのだった。 奈月『……さて、大会も盛り上がり真っ盛りなところで、準々決勝を始めていきたいと思います!それでは選手の人、どうぞ!』 奈月『片方は、学年でも噂されている変人!やらかした実験失敗は数知らず!だがその努力でここまで勝ち抜いてきた女、その名前は霧雨魔理沙!』 魔理沙『失敗もステータスなんだぜ?勘違いされちゃあ困るな。』 奈月『そして対する相手は……』 奈月『現在、学園でもその実力は噂されています、実力不明、その正体は麗しき博麗の巫女!その名は……』 魔理沙は八卦炉を取り出し、左手で帽子を深く被った。その視線の先には… 奈月『博麗、霊夢────!!!!!』 そして、反対側の入り口から、その少女は入ってきた。 魔理沙『…恨みっこなしだぜ、霊夢。』 霊夢『わかっているわよ、そんなこと。でも、あなたが私に勝てるなんて、本気で思ってるの?』 魔理沙『そんなの、今ここで決めることじゃないだろ。少なくとも私は……お前を、本気で倒しにいくぜ、霊夢。』 少女の周辺に、いくつもの小型機のような物が浮遊する。 霊夢『そう、じゃあ私も、久し振りに本気で相手しようかしら。』 そして二人は構え、次の瞬間。試合開始の合図と同時に、二人は動き出したのだった。
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